1999/6月早稲田大学構内6号館5F・SPACE5アトリエ2
ひと月ほど前、僕は数年ぶりに、
あの懐かしい、小学校の門をくぐりました。
放課後の誰もいなくなった教室で、
校庭から響いてくる、
金属バットの心地よい音を聞きながら、
僕は、いくつもの「はじめまして」と、
そしていくつもの、
「さよなら」をなぞりました。
それは切なくも、温かくも、哀しくもある、記憶たちでした。
いつのまにか僕は、ぽろぽろと、涙を流していました。
僕は気づいてしまったのです。
いつもワクワクして開けた、あの教室のドアも、
あの娘を思って、胸躍らせ駆け抜けたあの廊下も、
あいつといつも、何をすることもなく、
見上げていたあの屋上も、
もう、ここにはないのだということを。
懐かしさに涙するということは、
いくつもの「さよなら」を受け容れるのだということを。
そしてそんな涙を流すことで、
僕らは、“こども”ではなくなっていくのだということを。
いつだって、大切なものは、
失ってから気付きます。
だから僕は、そんな大切な、“あの頃”に潔く、別れを
告げようと決心しました。
愛してやまない、“あの頃”への、
たくさんの「ありがとう」と、
「さよなら」を込めて、
僕は、この作品を、書きました。
●日時:6月26日(水)~6月28日(土)
●劇場:早稲田大学構内6号館5F SPACE5アトリエ1
●CAST:相野谷郁絵・狩野和馬・坂根泰士・竹内啓史
●STAFF
作/演出:西森英行
空間演出:KURISU
音楽 :Kanto-kee
音響 :太田晴子
照明 :松山孝恭
映像 :くらげ
宣伝美術:高嶋雄一郎
制作 :井原雄人
企画制作:竹内啓史
イノセントスフィア